250 mm対決!FS-60CB vs RedCat 51

焦点距離200-300 mm付近は天体望遠鏡界の激戦区

天体望遠鏡にも様々な種類や焦点距離のものがありますが、最近では比較的焦点距離の短い200 – 300 mm前後の焦点距離を持つ屈折望遠鏡が人気です。M31や天の川、大きく広がった散光星雲などを撮るのに適した画角であること、軽量・短焦点でポータブル赤道儀でも追尾可能なこと、天体望遠鏡の中でも比較的安価に高性能な鏡筒ものが入手可能であることなどが人気の理由ではないかと感じています。そのような流れから、この焦点距離帯の望遠鏡は、各社様々なものを発売しており、さながら「天体望遠鏡界の激戦区」の様相を呈しています。

焦点距離200 – 300 mm付近で、天体写真適性の比較的高いといわれている望遠鏡には、以下のようなものがあります。(以下は私の把握している製品であり、すべての製品を網羅するものではありません。) 実際にはこのラインナップに加えてカメラレンズも候補として入ってくるため、さらに選択肢は増えてきます。

メーカ名称焦点距離 [mm]F値参考価格 (JPY)
高橋製作所FS-60CB255 (レデューサー焦点)4.2192,500
VixenFL55SS237 (レデューサー焦点)4.3170,720
William OpticsRedCat 512504.9121,000
Radian61 f/4.52754.5130,000
AskarFRA3003005.0123,000
FMA400280 (レデューサー焦点)3.9179,300
FMA2302304.692,400
TomytecBORG 55FL2504.5119,680
Table 1 焦点距離200-300 mmの望遠鏡 (例)

このクラスの望遠鏡は、既にFS-60CBを所有していますが、今回はWilliam OpticsのRedCat 51を追加購入しました。下記の天リフレビューにもあるように、このクラスでもトップレベルの光学性能と、使いやすそうな機能を多数取り揃えた魅力的な鏡筒です。今回はそんなRedCat 51と、FS-60CB (レデューサー焦点)を並列同架して、光学性能の比較を行ってみました。
今後は、この2機種の並列同架にて、露光時間を稼ぐツインシステムとして運用していく予定です。

FS-60CB vs RedCat 51

SPEC比較

はじめに、両者の簡単なSPEC比較をTable 2に示しました。RedCat 51の方が口径が10 mm小さいため、明るさの面では若干不利です。一方、レンズ構成については、FS-60CBは2群2枚構成となっているため、2色の色消しにとどまってしまっています。このことから、色収差の観点では、RedCat 51が有利といえるでしょう。この差がどの程度出るかについては、実写テストで明らかになります。

FS-60CBRedCat 51
レンズ構成2群2枚3群4枚
有効口径 [mm]6050
焦点距離 [mm]255250
F値4.24.9
イメージサークル[mm]4044
重量[kg]1.41.8
Table 2 FS-60CBとRedCat 51のSPEC比較

実写テスト

早速テストのため、並列同架を行いました。以前作製した、Samyang 135 mmツインの並列同架用プレートに取付用の穴を追加して、固定してみます。きちんと固定できましたが、両方の鏡筒で画角を合わせられるかどうか、重量でプレートがたわんでガイドエラーを起こさないかが気になるところです。オートガイドについては、FS-60CBのトッププレートにガイド鏡を取り付けて行います。

Fig. 1 並列同架用プレートへ鏡筒を取り付ける
Fig. 2 撮影時のセットアップ

Table 3に撮影条件を示します。使用するカメラについては、できるだけ条件を合わせるため、イメージセンササイズの同じASI294MM ProとASI294MC Proを選択しました。ASI294MM ProについてはRGBそれぞれのフィルタごとに撮影、ASI294MC Proについてはカラーカメラのため、そのまま撮影していつもの処理方法でカラー化後、RGBチャンネルに分解しています。

OpticsTakahashi FS-60CBWilliam Optics RedCat 51
CorrectorReducer C0.72×
FilterZWO LRGB 1.25 inchZWO UV IR Cut filter – 2″
Focal length255 mm250 mm
F stopF4.2F4.9
CameraZWO ASI294MM ProZWO ASI294MC Pro
Gain120120
Offset55
Binning2×21×1
Sensor temp.0 deg.C0 deg.C
ExposureR: 12 * 60 s
G: 12 * 60 s
B: 12 * 60 s
69 * 120 s
Date28-Apr. 2022 20:13- (JST)28-Apr. 2022 20:13- (JST)
MountCelestron Advanced-VXCelestron Advanced-VX
Guiding130 mm guide scope, QHY5L-IIM, PHD2130 mm guide scope, QHY5L-IIM, PHD2
SoftwarePixInsight, PhotoshopPixInsight, Photoshop
Table 3 撮影条件

減光特性

はじめに、それぞれの光学系について、周辺減光の様子を見てみます。Fig. 3から明らかなように、周辺減光の大きさはFS-60CBでより大きく、RedCat 51は顕著な周辺減光は見られませんでした。FS-60CBについてはレデューサーを使用している都合もあるため、この点は致し方ありません。
写野中央に対する写野左上の輝度比(輝度はリニア画像の状態で読み取った)を比較したところ、FS-60CBが94%に対して、RedCat 51が98%となっておりました。(輝度はGフィルタまたはGチャンネルで比較しました。)数字で見るとどちらも優秀な値ですが(イメージセンサが小さいことも手伝っています)、こうしてストレッチして比較してみると顕著な差があるようです。とはいえ、どちらも全く問題ないレベルです。

Fig. 3 周辺減光の比較

星像

次に、両者の星像比較を行います。CFA分解した状態で4× drizzleを行った画像のピクセル等倍(元画像の200%に拡大)について、上下左右と中央の、564 pxの範囲(画像サイズの10%に相当)を切り出した画像をFig. 4に示します。画像左側にS/Nが不連続に変化している箇所や黒帯がありますが、これは再導入の際に視野がずれたためです。Fig. 4からも明らかなように、写野全体に見られる軸上色収差、周辺のコマ収差ともに、RedCat 51の方が良好に補正されています。星像の面では、RedCat 51が圧倒的に優位であると言わざるを得ません。

Fig. 4 星像の比較

特にFS-60CBで気になるのが、Rフィルタ使用時のピントずれです。撮影時はLフィルタを装着した状態でピント合わせを行い、その後出てきたフィルタごとの画像をよく見ていなかったため、撮影後処理をしてみて驚きました。これは、SPEC比較で懸念されていた軸上色収差によるものです。Fig. 5のスポットダイアグラムを見る限りでも、C線(ざっくりRチャンネルに相当すると考えました)のスポット径は、ほかの線のスポット径と比べて大きく、ジャスピン位置では赤ハロ傾向となることが予想できます。実写結果とほぼ合致しているといえるでしょう。今まではFS-60CBの撮影をカラーカメラで行っていましたが、ピント位置の微妙なずれで赤ハロが出たり、シアンのハロが出たりと苦労していました。これは上記の色収差で説明ができます。このことから、今後はモノクロカメラでRGBごとにピントを合わせ、別々に撮影することで、色収差の発生しない画像を得ることができそうです。一方、RedCat 51については、色収差の発生は全く見られないほどですので、カラーカメラでの撮影が可能でしょう。

Fig. 5 FS-60CB + レデューサー C0.72×のスポットダイアグラム (タカハシWebサイトより引用)

まとめ

今回の記事では、FS-60CBとRedCat 51の比較を行いました。RedCat 51については、前評判通り、非常に高い光学性能を持つ望遠鏡であると感じました。そして、スペック上は似ている両機種ですが、色収差の発生に大きな違いがあることがわかりました。今回の撮影テストの結果を受けて、今後のツインシステムの運用は、下記のようにしたいと考えています。
・FS-60CB: ASI294MM Proで、RGB別々に撮影。ピントはR, G, Bそれぞれで合わせ直す。(可能なら電動フォーカサーでピントのオフセット量を学習させ、フィルタ交換時にピント位置をオフセットさせることで、操作を自動化したい)
・RedCat 51: ASI294MC Proでひたすら撮影。
焦点距離255 mmは、フォーサーズサイズのイメージセンサと組み合わせると便利な画角ですので、このツインシステムには大いに期待しています。

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