2020年のまとめ

2020年も残り一日となりました。今年も例にもれず天候が悪い一年が続きましたが、なんとか時間を見つけて約50対象を撮影することができました。
また、今年の後半にはブログを始め、遠征記録や画像処理のネタを書き始めることができました。そんな一年の中でも、印象に残った出来事を記載していきます。

大彗星

C/2019 Y4 (ATLAS)

今年の天体イベントは何といっても彗星だったと思います。明るい彗星に恵まれた一年だと感じました。C/2019 Y4 (ATLAS)はそんな彗星の一つでした。肉眼彗星になると期待された彗星でしたが、4月頃をピークに増光が止まり、崩壊してしまいました。彗星は天邪鬼なので、注目されてしまうとどうしてもダメですね。
ネガティブな話をしてしまいましたが、この彗星も8等前後とそこそこ明るくなり、緑色のコマがはっきりと写りました。尾はあまり見えませんでしたが・・・
彗星の一期一会感は魅力ですね。

図1 C/2019 Y4 (ATLAS)の光度推移 吉田誠一のホームページより引用
図2 C/2019 Y4 (ATLAS) 17-Mar. 2020

C/2017 T2 (PanSTARRS)

同じく3月頃に明るくなった彗星です。こちらはダストテイルがはっきりと見えています。こちらも8等止まりで減光してしまいました。

図3 C/2017 T2 (PanSTARRS)の光度推移 吉田誠一のホームページより引用
図4 C/2017 T2 (PanSTARRS) 20-Mar. 2020

ついに来た人生初の肉眼彗星: C/2020 F3 (NEOWISE)

私の人生において、初めて彗星というものを認識したのはC/2011 L4 (PanSTARRS)でした。マイナス等級まで明るくなったものの、薄明中の低い空でそれを見つけることは当時の経験値が低い私にとっては大変難しく、3月の強風が吹き荒ぶ中、河川敷に這いつくばってシャッターを切ったことをよく覚えています。
当時は、(肉眼彗星とはいうけど、こんなもの肉眼彗星じゃない・・・)と落胆したことをよく覚えています。その日以来、(いつか肉眼で彗星を見たい・・・)と思い続けていました。

時は流れ2020年、ついにその機会が訪れました。
C/2020 F3 (NEOWISE)です。発見当時から明るくなる予報ではあったものの、注目はC/2019 Y4 (ATLAS)に集まっていました。今となって思えば、注目されなかったことが良かったのかもしれません。(当然、人間の想いなど無関係なわけですが・・・)
ただ・・・大きな懸念は時期でした。よりにもよって、日本全国が最も天気の悪い7月。日本列島は梅雨前線に覆われ、西日本を中心に悪天候が続いていました。
だがしかしそこは東北民の強みで、青森周辺まで北上すれば、南から迫りくる梅雨前線から逃れられる、というチャンスが訪れました。木曜日の夜にもかかわらず、私は明け方の薄明に昇る彗星を追いかけて、東北道を北上しました。
途中までご一緒した(正確に言うと、途中のSAで一瞬話しただけの)大顧問の記事に詳細は述べられています。

この夜は今年の中で一番記憶に残る夜でした。車を降りた瞬間の、7月にもかかわらずひんやりとした空気、月明りのまぶしさ、そして山の稜線から昇る彗星の明るさは、今でも鮮明に思い出されます。明るいダストテイルは薄明・月明りの中でも肉眼ではっきりと確認でき、これが肉眼彗星かと感動しました。

図5 C/2020 F3 (NEOWISE) 10-Jul. 2020
図6 C/2020 F3 (NEOWISE) 14-Jul. 2020
図7 C/2020 F3 (NEOWISE) 19-Jul. 2020

雲抜けの栗駒

今年の8月は、夏には珍しく新月期の好天に恵まれました。8月には異例の6回遠征に行くことができました。お盆の時期に行った仙台平では、「無風」「快晴」「新月」「ペルセウス座流星群」「お盆」という好条件が重なりすぎて、あの狭い駐車場に20台以上車が入るという異常事態となりました。その異常さはぜひタイムラプス動画よりご覧ください。

それから一週間は引き続き晴天が続きました。特に印象的だったのは、雲抜けの栗駒山でした。下界は完全に雲でふたされた結果、今まで見たことがないレベルの暗い空となりました。天頂にはM33が肉眼で見えるような気がしました。(本当に見えていたのかはわかりませんが・・・)この夜は寝袋にくるまって、最高の空を眺めながら薄明までうとうととしていました。

令和2年11月快晴

ここ数年、天気の良いイメージのある、9-10月が悪天候になるということが続いています。今年も例外なく新月期は悪天候に見舞われ、撮影できない日々が続いていました。しかし11月になってようやく移動性高気圧がやってきました。11/14 (土)の夜は日本列島全体が移動性高気圧に覆われ、日本全国各地で「無風」「快晴」「新月」の夜となりました。フラストレーションの溜まりに溜まった日本全国の天文ファンがこぞって遠征にでかけ、私も例外なく快晴の空を楽しむことができました。

この日の神割崎は重量級機材祭りでした。nagahiro氏のCEM70G+RASA11, N氏のEM-400+CCA-250, そのほかにもMS-5+ε-250と、私のR200SSがおもちゃに見えるレベルの機材が勢ぞろいでした。こんな神割崎は初めてでした。私はもはや豆粒のようなFS-60CBにて、オリオン座のモザイクを撮っておりました。

図8 M42・馬頭星雲付近

雪雲を乗り越えて

太平洋側に面する宮城県では、12月は冬型の気圧配置となり、晴天に恵まれることも多くなります。実際に、2019年は12月いっぱい晴天に恵まれ、複数回の撮影を楽しむことができました。
ところが、今年は最後まで天気が悪く、新月期になった瞬間に今季最大級の寒波が来てしまいました。こうなってしまうと、奥羽山脈は雪雲を堰き止めるには力不足となってしまい、宮城県全域で降雪となりました。
なんとか撮影ができたのは福島県の木戸ダムまで行ってのことでした。詳細は別記事に書いたのでよろしければご覧ください。

まとめ

人間は自分にとって都合の悪いことばかり頭に残すようで、常に「晴れません」「晴れません」とぶつくさ言い続けてきた1年でしたが、思い返してみると十分に楽しめた1年でした。今年も、撮影地やTwitter上にて、新たな出会いがたくさんありました。いつも活発な議論やアドバイスをいただいている皆様、本当にありがとうございました。来年もどうぞよろしくお願いいたします。

最後に、今年撮影した写真を1枚の画像にまとめました。
それでは、皆さんよいお年をお迎えください。

え?木星と土星の接近?・・・知らんな。

図9 2020年のまとめ

“2020年のまとめ” への5件の返信

  1. こんばんは。だいこもんです。
    思い返してみれば、今年は彗星も当たり年だったのですね。ここ数年を振り返っても、印象に残る年でした。
    栗駒山は、次回行くときは中腹の駐車場が車の出入りがなくて良さそうです。ブログの引用もありがとうございました。

    1. だいこもんさん、コメントありがとうございます。今年一年も大変お世話になりました。
      私は撮れませんでしたがエラスムス彗星もありましたよね。
      栗駒の中腹のスキー場もいいですね。近くの建物の明かりが気になることがありますが…

      1. こちらこそ、お世話になりました。
        そーなのかーさんに引っ張られて、遠征回数も増えました。

        スキー場ありましたっけ?
        栗駒の、紅葉バスの発着場になっている広いスペースが撮影に使えると思います。

        1. 勘違いしていました、そのバスの発着場になっている駐車場のことです。
          スキー場ではないですね。
          今年もよろしくお願いします。

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