呪いの青い馬2022
目次
呪いの天体
天体写真を撮る方の中には、それぞれご自分の「呪いの天体」があるかもしれません。この天体を撮ると謎の機材トラブルに見舞われる、この天体を撮るとそこだけなぜか雲が湧く・・・などなどの経験があるかもしれません。
私にとって代表的な「呪いの天体」はIC 4592, 通称「青い馬星雲」です。さそり座にあることから南中高度が低い、青い反射星雲のため空の状態の影響を受けやすい、淡い対象である、などなど本質的に難しい対象であることは確かですが、撮ろうとすると機材がトラブルを起こしたり、さそり座周辺だけ曇ったり(低空だけ雲が湧くことはよくありますが)と個人的には大変苦労した対象です。
リザルト変遷
TRY1(2020年)
この対象に初挑戦したのは2年前の2020/3/21です。この夜は大変に透明度が低かったことを覚えています。ひどい縞ノイズも出ていましたが、偶然にも画像の短辺と平行に出ていたため、”CanonBandingReduction”スクリプトで消すことができました。Samyang 135mm F2.0 + Kiss X7iの組み合わせです。
TRY2(2020年)
一か月後の4/23に、再度この対象に挑戦しました。この夜は一か月前と比べると透明度は良好なようで、前回よりは良い結果を残せたんじゃないかなと思います。光学系の組み合わせは上と同じです。ただこの夜は使用していたAdvanced VX赤道儀がトラブルを起こしました。この辺から、私の中で「呪いの青い馬」のイメージが出来上がりつつありました。
TRY3(2021年)
人生初のモノクロカメラに浮かれていた2021年、5/11, 13の2夜に改めて撮影をしてみました。このカメラで銀河を撮影した時は15 sで周辺の淡い構造まで出たので、今回も15 sで撮影してみたのですが、結果は見ての通り大失敗。淡いところが全く出てくれません。強調してもノイズばかり出てくるので、諦めました。とはいえ、淡い対象はある程度一枚当たりの露光をかけないとだめという学びのあった一枚にはなりました。撮影自体は順調でした。
Optics | Samyang 135mm F2.0 |
Corrector | – |
Filter | ZWO LRGB 1.25 inch |
Focal length | 135 mm |
F stop | F3.2 |
Camera | QHYCCD QHY5III174M |
Gain | 0 |
Offset | 15 |
Binning | 1×1 |
Sensor temp. | N/A |
Exposure | L: 864 * 15 s R: 178 * 15 s G: 170 * 15 s B: 166 * 15 s Total exposure: 345 min |
Date | 11-May 2021 23:37- 13-May 2021 21:00- |
Mount | Celestron Advanced-VX |
Guiding | 130 mm guide scope, QHY5L-IIM, PHD2 |
Software | PixInsight, Photoshop |
TRY4(2022年)
ASI294MCPを導入しましたので、4/1,4/2の2夜を使ってリベンジしました。この日は透明度もそこそこよく、期待できそうな空となりました。やはり良い空と良い機材の組み合わせで、ようやく納得のいく結果が得られました。やはり最後は空の状態だと改めて思い知る結果となりました。ストレッチの時点で色が出てくれた上に、かなり画像に余裕があったため、珍しく強めに彩度強調をかけてみました。画像右上の分子雲に若干赤い色が出てくれたため、とても色彩豊かな印象になりました。
Optics | Takahashi FS-60CB |
Corrector | Reducer C0.72x |
Filter | ZWO UV IR CUT filter 2 inch |
Focal length | 255 mm |
F stop | F4.2 |
Camera | ZWO ASI294MC |
Gain | 120 |
Offset | 5 |
Binning | 1×1 |
Sensor temp. | -10℃ |
Exposure | RGB: 382 * 60 s |
Date | 1-Apr. 2022 23:38- 2-Apr. 2022 23:46- |
Mount | Celestron Advanced-VX |
Guiding | 130 mm guide scope, QHY5L-IIM, PHD2 |
Software | PixInsight, Photoshop |
現時点、私は上記のリザルトに満足していますが、今後も機材が変わることがあればまた挑戦したいです。青い反射星雲の色と、周囲の茶色い分子雲、ごく淡い赤色のガスがきれいで、見ていて飽きない対象ですね。