Optolong L-eNhance フィルターを使ってみた ②撮影編
今回の記事では、前回の記事に引き続き、Optolong L-eNhanceフィルターを使用したの撮影の結果について書きたいと思います。
前回感じた懸念である、以下の項目について、順を追って確認していきます。
- フィルター挿入によるピントの移動(合焦するか?)
- フィルターの固定がゆるく、撮影中に動いて星像が歪まないか?
- 周辺部の収差に影響がでないか?
- 撮影した画像のカラーバランスはどうなるか?
- 近征・ニワトリ・満月期の撮影でどの程度星雲をあぶりだせるか?
目次
懸念① 合焦するか?
最初の懸念は、フィルター挿入による光路長の変化で、合焦しなくなることでした。
早速ピント出しトライ。結果は問題なしでした。カットオフされている波長があるため回折像が点線になっています。
懸念② 周辺の星像・収差
前回の記事でも述べたように、フィルターの固定は最小限の力で行っており、撮影中にフィルターが動いて星像が歪まないか、また周辺の星像に影響が出ないかを懸念していました。
というわけで早速撮影した画像の四隅と中央を確認。中央・周辺と星像は円形を保っており、問題なさそうです。諸収差についてもフィルターなしと比べて明確な差はみられませんでした。
懸念③ カラーバランス・星雲の強調効果
本題の、撮影した画像の処理結果をアップします。
対象はSh2-155 (洞窟星雲)になります。
十分な露光時間が確保できず、荒れた画像となってしまっています。
図3は前処理を終え、カラーキャリブレーションを行った画像となります。同様の光学系で撮影した、ノーフィルター画像(図4)と比較しています。
ノーフィルターと比べて星像が小さくなっており、散光星雲が強調されていることがわかります。しかし、連続光で光る輝星の色は、フィルターによってカットされている波長のせいでおかしくなっています。
そこで、フィルター画像のRGBチャンネルとノーフィルター画像のRGBチャンネルをブレンドしました。ブレンドには、PixInsightの“EmissionLineIntegration”スクリプトを使用しました。
Optics | Takahashi FS-60CB |
Corrector | FC-FS multi flattener |
Filter | Optolong L-eNhance |
Focal length | 370 mm |
F stop | F6.2 |
Filter | Optolong L-eNhance |
Camera | Canon EOS Kiss X7i (HKIR modified) |
ISO | 800, 1600 |
Exposure | ISO1600, 18*360 sec (w/ filter) ISO1600, 15*240 sec ISO800, 18*360 sec Total: 276 min |
Date | 5-Nov. 2020 19:13- 12-Nov. 2020 20:37- 14-Nov. 2020 18:00- |
Mount | SkyWatcher EQ6R |
Guiding | Autoguiding w/ QHY5L-II+mini scope(130mm)+PHD2 |
Software | PixInsight, Photoshop, BackyardEOS, PHD2 Guiding |
おわりに
今回は、L-eNhance フィルターのテストを行いました。今まで別撮りしていたHaとOIIIを同時に撮影できるため、露光時間が短縮できるメリットは大きいと感じました。時間があれば満月期の撮影をトライしたかったのですが、全く天候に恵まれず断念しました。
フィルターの形状については、天体用カメラであれば48 mmフィルターが良いと感じましたが、私のように一眼レフでの撮影であればクリップタイプのフィルターが良いと感じました。実際、クリップタイプのフィルターもラインナップされているため、この点は魅力かと思います。
改めて、今回モニター使用の機会をいただきました天文リフレクションズ様、誠にありがとうございました。
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