SIGMA 105mm F1.4 DG HSM “BOKEH-MASTER”を使ってみた

はじめに

今回の記事はSIGMAが誇る神レンズ”SIGMA 105mm F1.4 DG HSM”の使用記録と撮影時の遠征記録になります。

天体写真撮影には100 mm前後の焦点距離のレンズを多用することが多いです。大きく広がった散光星雲や、天の川を撮るのによく使用します。
私はSamyang 135mm F2.0 ED UMCを2本並列同架したツインマウントとして撮影を行っています。2本同時に露光することで露光時間も2倍という算段です。天体写真では点光源を被写体とするため、非常に厳しい結像性能を要求されます。そしてそのようなレンズは概して高価なものですが、こちらのレンズは値段の割に周辺まで収差が少なく、良好な点像を結びます。天体写真用として重宝しているレンズです。

一方、今回取り上げるSIGMA 105mm F1.4 DG HSM (EFマウントを使用)、通称”BOKEH-MASTER”は、同社のフラッグシップシリーズであり、非常に評判の良いレンズです。天体写真特性も素晴らしく、おなじみ天リフさんがレビュー記事を上げられていらっしゃいます。お値段もフラッグシップらしいタフなお値段であり、正直簡単に手が出るお値段ではないのですが、今回はレンタルレンズにて使用する運びと相成りました。

ツインマウントへの搭載

詳しいレビューは上述の記事に譲るとして、早速いつも使用しているツインマウントへ載せてみました。
Samyang 135mmに対して1 kg以上重いため、バランスの悪化が懸念しましたが、赤道儀に載せたところ問題なく追尾できる程度にはバランスが取れました。非常に大きいレンズです。フィルターホイールのΦ105 mmは伊達じゃない。
隣にはバランス取りも兼ねて、いつも通りSamyang 135mmを同架しています。それにしてもこのレンズはめちゃめちゃでかい。望遠鏡とは違う圧迫感があります。

Samyang 135mm (左)とSIGMA 105mm (右)

撮影開始まで

撮影のため、前の記事でも取り上げた木戸ダムへ向かいました。今回はぐらすのすちさんとぐらすのすちさんのお兄さん、nagahiroさんも一緒です。

この日は寒冷前線を日本の北が通過したため、東北エリアは日中にかけて悪天候となりました。木戸ダムに着いた直後も冷たい雨が降っていました。雪ではなくて雨を見たのはとても久々で、もはや違和感を感じるレベルでした。

気象庁HPより

雨に降られると設営もできないため、雨が止むことを信じて車の中で1時間ほど耐えていました。

その後は前評判通り、寒冷前線通過後は天気が急速に回復し、晴天に恵まれました。しかし風が非常に強くなり、ガイドエラーが心配されました。ガイドグラフも暴れていたものの、焦点距離が短いこともあり、捨てるフレームはほとんど発生しませんでした。

こちらのレンズは三脚座が付いています。私は三脚座のついたレンズを初めて触ったのですが、プレートへねじ止めして使う今回のようなケースでは非常に便利だと感じました。特に、カメラの回転角度がわかる目印が付いているのが便利でした。明らかに架台へ固定して使うことを意識されたデザインだと感じました。

撮影

撮影結果になります。対象はばら星雲~コーン星雲にかけての領域で、冬の定番ともいえる構図にしました。
はじめに中央と周辺の収差を確認していきます。

収差

星像は前評判通り非常にシャープで、中央部は恐ろしいほどの真円です。周辺の収差も十分なレベルです。
ツインマウントのプレートがたわんでガイドが悪化することを心配していましたが、ガイドは問題なかったようです。F2.0の明るさのおかげで、バックグラウンドは非常にスムーズで、スムーズすぎるくらいです。
少し気になったのが赤ハロ。ピントの追い込みが足りなかった可能性はありますが、中央部の星像を見ると、星像の周囲が赤くなっており、Rチャンネルを見るとピンボケしたようになっていることがわかります。この点については、もう少し絞ればよかったと後悔しています。

星像確認 (撮って出し)
色収差の確認(左: Rチャンネル、右: Gチャンネル)

周辺減光

続いて周辺減光。F2.0まで絞っているため、APS-C周辺では周辺減光のレベルは小さくなっています。また、フラットを確認しても素直な周辺減光であり、フラット補正もきれいにはまりました。

周辺減光の確認(撮って出し・未処理)
マスターフラット
マスターフラットの等光度曲線

撮影結果

最後にスタックして処理した結果になります。
微光星が多く強調が難しかったため、控えめの強調としました。ばら星雲中心部の色が好みの感じです。

Rosette Nebula and its surroundings
OpticsSIGMA 105mm F1.4 DG HSM
Filter
Focal length105 mm
F stopF2.0
CameraCanon EOS Kiss X7i
ISO800
Exposure68×120 sec, 53×90 sec (Total: 216 min)
Date16-Jan. 2021 19:53-
MountCelestron Advanced VX
GuidingAutoguiding w/ 130 mm scope, QHY5L-IIM and PHD2
SoftwarePixInsight, Photoshop
撮影条件

最後に

今回はSIGMA 105mmを試用した結果について書きました。星像も非常にシャープで、F2.0という驚異の明るさはとても魅力に感じました。もう少し絞ればよかったという後悔が残る結果となってしまいましたが、もしまた使用する機会があれば今度こそ絞って使用してみたいです。

今回のタイムラプスです。撮影記録については下記のブログも参照ください。

ご一緒いただいた皆様、ありがとうございました。

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