【遠征記録】福島天体撮影会 2021年夏

何事も、一人でやるよりチームでやったほうが、良いアウトプットが出るものです。もともと私はチームプレイが大嫌いな性分ですが、好きなことであれば話は別。神割崎で出会っただいこもんさんからのつながりも広がりに広がり、今回は7人で一つ空の下同じ天体を撮影するという撮影会に参加してきました。簡単な前処理方法の概要と、みなさんの記事では公開されていない、モザイク合成後の画像について書きたいと思います。

みなさんの撮影記録

参加者の皆さんが、各自の形で撮影記録をアップされています。特筆すべきは、ぐらすのすちさんの動画。撮影の臨場感や雰囲気が伝わる名作になっていますので、ぜひご覧ください。

そのほかには、だいこもんさん、Niwaさんが詳細な記事を書かれています。

https://masahiko.me/fukushima-ensei/

前処理

今回の撮影会では、事前に決めておいた対象を各自の光学系で撮影し、得られた結果をモザイク合成することとしました。私はその中でも撮影結果の前処理からモザイク合成までを担当することとなりました。
下記のような手順で、前処理を行いました。

  • ライトとキャリブレーションフレームのオリジナルファイルを私が受領
  • こちらの手順 に沿って、Drizzleまでをそれぞれの光学系ごとに実施
  • 情報が欠落している縁部分をクロップし、BackgroundNeutralization→ColorCalibrationを行い、fits形式で書き出し
  • それぞれの光学系ごとに書き出したfitsをAstro Pixel Processorでモザイク合成
  • 私の独断と偏見で適切な画角にクロップ

上記が完了したfitsファイルをグループで共有し、各自が「個別に」(お互いの画像処理結果を見ないようにして)後処理、その結果をグループで見せ合って処理の方向性を決め、再度後処理した結果を最終結果としました。各自が個別に後処理をしたのは、後処理には個人の好みや癖が大きく反映され、各自の結果に引きずられるだろうという考えからです。

さて、最終結果は上記の動画をご覧いただくとして、前処理の過程を見てみたいと思います。まずはアイリス星雲の方から。

早速、モザイク合成が終わった直後のフレームを見てみましょう。なんと、元画像は28360*25236 pixels (約7億画素)、8 GBもの巨大なファイルになっています。

モザイク合成後の画像

続いて、各自がどんな画角で撮ったかを見てみるため、位置合わせだけをした各自のフレームに色を付けて、比較明合成で重ねてみました。

各自のフレームのオーバーラップ

動画版。(Astro Pixel Processor のホームページにある紹介動画風です。) ここまで画角の異なる画像を見事に位置合わせし、破綻なくつなぎ合わせる、Astro Pixel Processorの威力がよくわかります。

各自のフレームのオーバーラップ


光学系もバリエーション豊かで、画角も人によってそれぞれであることが一目でわかります。一人だけ空気の読めない広い画角がいますが、これは私のツインマウントで遊ばせていたSamyang 135 mm + Kiss X5 によるものです。せっかくカメラがついているからもったいないと撮影したものですが、結果的には、この画角が皆さんの画角で空いた穴を埋める形になったので、撮ってよかったです。「みんなで作り上げた」感が伝わるかと思います。
さすがにここまで画角が違うと、画像処理を進めるにあたって、画面内のS/Nのムラが際立ってきました。そこで、S/Nが悪い部分だけマスクをかけて、ノイズ処理を行うということをしています。

続いてまゆ星雲、こちらはみなさん自動導入を使って導入されているため、画角に大きなずれはなく、ほぼ画面全体に全員の画像の寄与がもたらされました。

モザイク合成後の画像
各自のフレームのオーバーラップ
各自のフレームのオーバーラップ

みなさんの記事にもあるように、どちらの画像も総露光時間は13 h超えという、わずかな晴れ間を最大限に活用した素晴らしい結果となりました。特に素晴らしいのは、みなさんの画像に含まれる「様々なエラー」(カメラの欠陥ピクセル、光学系の周辺減光、ガイドエラーなど・・・)がいい意味で平均化され、画像の出来栄えが、単一のカメラで撮ったよりもはるかに良くなっていること。次はぜひ、天候の安定した冬場に、一晩で100 h超えの総露光時間を狙いたいです。狙い通りに事が運び、大成功の遠征となりました。

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